VA/VE (加工技術FAQ)
材料選定
AC4B-T6アルミニウム合金鋳物のT6熱処理の特性と変容について教えてください。
材料解説 / AC4B-T6
AC4B-T6のT6熱処理とは
AC4B-T6はAC4Bのアルミニウム合金鋳物にT6熱処理(溶体化処理+人工時効処理)が施された材質になります。
T6熱処理の3工程
①溶体化処理
②焼入れ
③人工時効処理
②焼入れ
③人工時効処理
溶体化処理(Solution Treatment)
合金を500°C前後の高温で数時間保持
合金を500°C前後の高温で数時間保持させます。この目的は、鋳造時に不均一に晶出したAl₂CuやMg₂Siなどの化合物を、アルミニウムのマトリックス中に均一に溶け込ませること(固溶)にあります。また、この段階で、鋳造組織内の鋭利なシリコン粒子が熱力学的な駆動力により丸みを帯びる「球状化」が起こり、材料の靭性が向上します。
500°C前後・数時間保持
Si粒子の球状化
Al₂Cu・Mg₂Si固溶
Si粒子の球状化
Al₂Cu・Mg₂Si固溶
焼入れ(Quenching)
高温状態から水や温水中に急冷
高温の状態から水や温水中に急冷する。これにより、本来であれば温度低下に伴って析出するはずの成分をマトリックス中に強制的に閉じ込めた「過飽和固溶体」の状態を常温で作る。冷却速度が遅いと、不適切な箇所に粗大な析出物が生じ、後の時効硬化が不十分になるため、迅速な冷却が求められる。
冷却速度が遅いと不適切な箇所に粗大な析出物が生じ、後の時効硬化が不十分になります。迅速な冷却が品質を左右する重要なポイントです。
人工時効処理(Artificial Aging)
150°C〜200°C程度で一定時間加熱
過飽和固溶体状態の材料を150°C〜200°C程度の温度で一定時間加熱します。この低温加熱により、マトリックス中に閉じ込められていた銅やマグネシウムが、ナノオーダーの極めて微細な析出物として均一に分散して現れます。この微細析出物が「析出強化」の主役となり、硬さと強度を最大化させます。
150〜200°C・一定時間
ナノオーダーの析出物
析出強化で硬さ・強度最大化
ナノオーダーの析出物
析出強化で硬さ・強度最大化




