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VA/VE (加工技術FAQ)

材料選定

チタン合金はどのように分類されますか?それぞれの特徴と用途を教えてください。

チタン合金は、その結晶構造に基づいて主に3つのタイプに分類されます。これらの分類は、添加される金属元素によって常温での結晶相が異なることに起因し、それぞれが独自の加工性や用途を持ちます 。

  1. α型合金:
    • 特徴: アルミニウムを添加することで形成される合金です 。室温および低温環境下で優れた強度を発揮します 。クリープ抵抗性も良好です。  
    • 加工性: 一般的に、後述のβ型合金やα+β型合金と比較して加工性は劣ります 。  
    • 主な用途: ロケットの液体燃料タンクや、塩酸・硫酸を扱う化学プラントの部品などに使用されます 。  
  2. β型合金:
    • 特徴: バナジウム、クロム、モリブデンなどの元素を添加して作られます 。常温においても体心立方構造(β相)を100%保持することが特徴です 。高い強度を持ちながら、優れた加工性を有します 。ただし、高温環境下では強度が低下する傾向があります 。また、バナジウムやモリブデンを多量に添加すると比重が増加し、チタン本来の「軽さ」という長所が損なわれる場合があります 。  
    • 主な用途: バネ材、ゴルフのヘッド、眼鏡フレーム、生体材料、航空機構造用部品、航空機エンジン部品、人工股関節など、多岐にわたる用途で利用されています 。Ti-13V-11Cr-3Alが代表的なβ型合金として挙げられます 。  
  3. α+β型合金:
    • 特徴: 常温で正六角柱の結晶構造(α相)と体心立方構造(β相)の両方を保持するタイプです 。α型合金とβ型合金双方の利点を兼ね備えており、加工がしやすいのが大きな利点です 。400~500℃までの比強度(強度/比重)は、実用金属の中で最も高い水準を誇ります 。また、時効処理が可能であり、これによって様々な用途に対応できる特性を発揮します 。ただし、摩擦には弱いという側面もあります 。  
    • 加工性: 良好な加工性を有します 。  
    • 主な用途: 戦闘機の機体やガスタービンエンジンの圧縮機前段といった高性能部品に採用されることが多いです 。その他、航空機部品、自動車ギア、ゴルフヘッド、眼鏡などにも使用されています 。通称「64チタン」と呼ばれるTi-6Al-4Vは、このα+β型合金の代表例です 。  

これらのα、β、α+βといった異なる結晶構造を持つチタン合金の存在は、それぞれが特定の合金元素と組み合わせることで、強度、延性、耐熱性、加工性といった機械的特性を精密に調整できることを示しています 。

例えば、α型合金の低温強度特性はロケット燃料タンクに不可欠であり、α+β型合金の高温での高い比強度は戦闘機やガスタービンエンジンに不可欠です 。また、β型合金の優れた加工性は、バネや眼鏡フレームのような複雑な形状が求められる製品に適しています 。

この材料の専門化は、極限の性能が求められ、失敗が許されない環境下での最適な性能を実現するために、チタン合金が高コストで加工が難しいにもかかわらず選択される理由を明確にしています。

 

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