VA/VE (加工技術FAQ)
材料選定
チタン合金の主要な国際規格(JIS, ASTMなど)にはどのようなものがありますか?
金属材料の規格は、異なる製造業者間や国際市場において、材料の均一性、品質、および互換性を保証するために不可欠です。チタン合金についても、主要な国際規格が存在します。
日本産業規格(JIS):
日本では、チタンおよびチタン合金は主にJIS規格によって規定されています 。
JIS H 4600: チタンおよびチタン合金の板および条に関する要件を定めています 。
JIS H 4650: チタンおよびチタン合金の棒に関する要件を定めています 。
「64チタン」として一般的に知られている合金は、JISでは「JIS60種」または「TAB6400」として対応しています 。
ASTMインターナショナル(米国材料試験協会):
ASTMインターナショナルは、世界最大の民間・非営利の国際標準化・規格設定機関であり、その規格は世界中で広く認識されています 。
ASTM B348: チタンおよびチタン合金の棒を規定しています 。
ASTM B265: チタンおよびチタン合金の板、シート、および条を規定しています 。
これらのASTM規格は、さまざまなチタンのグレードにおける製造の均一性と品質を保証するために使用されます 。
例えば、「64チタン」は、米国ASTM規格では「ASTM B348 Gr5」として指定される合金の通称です 。その化学成分はしばしばTi-6Al-4Vと表記され、これは質量分率でアルミニウム(Al)が6%、バナジウム(V)が4%含まれていることを意味します 。
チタン合金のJISやASTMのような国際規格の広範な採用は、単なる形式的な手続きではありません。これは、グローバルなサプライチェーンと、航空宇宙産業のような安全と性能が最優先される高リスクな用途にとって極めて重要な要素です。化学組成、機械的性質、製造プロセスに関する統一された仕様を遵守することで、これらの規格は、ある国で製造されたチタン部品が、別の国で組み立てられたシステムに信頼性高く組み込まれることを保証します 。この標準化は、材料のばらつきに関連するリスクを低減し、国際貿易を促進し、複雑なエンジニアリングプロジェクトに必要な信頼性の基盤を築きます。調達においては、多様なグローバルサプライヤーから調達しながら一貫した品質を維持できることを意味し、研究開発においては、材料特性評価と開発のための共通の基準を提供します。