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インコネルとは何ですか?その主な特徴は何ですか?

インコネルは、ニッケルを主成分とし、クロム、鉄、ニオブ、モリブデンなどの元素を添加した高性能ニッケル基超合金の総称です。インコネルという商標は、Special Metals社の登録商標です。特に極限環境下での使用に特化して開発されてきました 。

インコネルは優れた耐熱性、耐食性、そして機械的強度を持ち、過酷な環境下での使用が想定される部品に多く使われています。

耐熱性においては、約700℃から1000℃の高温環境下でも高い強度を維持することが可能です。

例えば、インコネル600は最大約1180℃まで、インコネルX-750は1800°F(約980℃)以上でも強度を保持します 。

一般的な耐熱性ステンレス鋼が約500℃で性能限界に達するのと比較して、格段に優れた性能を示します 。

さらに、高温下で持続的な荷重が加わる状況においても、変形しにくい材料として評価されています 。

 

耐食性に関しては、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸などの強酸性環境、塩化物イオンによる応力腐食割れ、孔食、隙間腐食、粒界腐食といった多様な腐食形態に対して優れた耐性を示します 。

この高い耐食性は、合金に含まれるクロムなどの元素が、材料表面に安定した不動態皮膜を形成することによって生まれます。この保護膜により、水や酸、アルカリ性の薬品に対しても長期にわたる耐性を維持できます 。

機械的強度においては、インコネルは極低温から極高温までの幅広い温度範囲で、高い引張強度、クリープ強度、耐ヘタリ性といった優れた特性を保持します 。これにより、高負荷がかかる環境や、温度変化が激しい状況下でも高い信頼性を発揮します。

 

インコネルにはいくつかの主要な種類があります。

 

🔵Inconel 600 (Alloy 600)🔵

ニッケル含有量が約72.0%以上(場合によっては76.0%)と高く、高純水およびアルカリに対する耐食性が良好です 。また、塩化物イオンによる応力腐食割れに強く、高温での耐酸化性も優れています(約1180℃まで) 。この特性から、化学エンジニアリング装置、加熱部品、熱処理治具、原子炉部品、電子機器部品などに広く活用されています 。

🔵Inconel 625 (Alloy 625)🔵

クロム(20.0-23.0%)とモリブデン(8.0-10.0%)が豊富に含まれており 、孔食や隙間腐食に非常に強い耐性を示します 。さらに、ニオブの添加により、熱処理や溶接後に発生しやすい粒間割れを効果的に防ぐことができます 。そのため、化学・海水エンジニアリング、原子力廃液処理装置、超臨界水装置、海洋・海水用部品、石油配管といった、特に腐食性の高い環境で多用されます 。

🔵Inconel 718 (Alloy 718)🔵

高温強度と耐食性を兼ね備えた析出硬化型ニッケル合金であり、700℃までのクリープ強度に優れています 。固溶化状態での溶接性が良好で、溶接後に割れを起こしにくい特性も持ち合わせています 。航空機部品、タービンディスク、ロケット部品、原子炉部品、核燃料スペーサー、高張力ボルト、海洋ポンプシャフト、熱間押し出し工具など、極めて高い信頼性が求められる用途に利用されています 。

🔵Inconel X-750 (Alloy X-750)🔵

インコネル600にアルミニウムとチタンを添加することで、析出硬化を可能にした合金です 。約700℃(1300°F)までの高い引張強度、破断強度、耐クリープ性、耐酸化性、耐ヘタリ性、応力腐食割れへの強さを示し、極低温環境でも優れた特性を保持します 。ガスタービン、ジェットエンジン部品、原子炉部品、圧力釜、航空機機体構造、耐熱スプリング、ファスナー、熱間押し出し工具などに用いられます 。

ニッケル含有量の高さはアルカリ耐食性に、モリブデンやニオブの添加は孔食耐性に寄与し、アルミニウムやチタンは析出硬化による高温強度向上に不可欠です。

インコネルは、航空宇宙、原子力、化学プラントといった極限環境下での耐久性が強く求められる部品材料に採用されます。極限環境では部品の交換も容易ではないため、長寿命化が強く求められます。

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