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フェライト系ステンレス鋼はどのような業界・製品部品で利用されていますか?

フェライト系ステンレス鋼は、その特性のバランスとコストパフォーマンスの高さから、多岐にわたる業界と製品部品で広く利用されています。オーステナイト系ステンレス鋼ほどの耐食性は発揮しないものの、腐食環境が厳しくない用途や、特定の機械的・磁気的特性が求められる場面でその真価を発揮します 。

 

🔵主要な利用業界と製品部品🔵

 

  1. 自動車産業: 自動車分野では、高温および腐食環境にさらされる排気系の部品でフェライト系ステンレス鋼が広く活用されています 。エンジン直近で高温の排ガスを受けるエキゾーストマニホールドでは、耐食性に加えて、耐酸化性や高温強度といった耐熱性が求められます 。フェライト系はオーステナイト系と比較して酸化スケールが乖離しづらく、耐酸化性に優れるため、この用途に適しています 。また、コストが低い点も採用上の大きな長所です 。排ガス温度に応じて、モリブデン、ニオブ、チタンなどを添加した高純度フェライト系の鋼種が選択され、メインマフラー内部などの厳しい湿食環境下でも使用されています 。
  2. 厨房機器・家電製品: コストの面から、業務用のステンレス製厨房器具ではフェライト系の使用が主流となっています 。また、IH調理器用の鍋類には、フェライト系が磁性を持つ特性から適しており 、冷蔵庫の外板用などでもコストの利点から広く使われています 。家庭用品、洗濯機のドラム、屋内パネルなど、日常的に使用される製品にも多用されています 。SUS430は特に、見た目の美しさと低コストを重視する商品の選択肢として人気があります 。
  3. 建築・建材: 建築分野では、建築内装や外装、屋根などにフェライト系ステンレス鋼が使用されています 。特に、熱膨張率がオーステナイト系よりも小さいため、熱膨張・収縮が問題となる屋根や壁などの建材外装用に適しています 。改修後の東京カテドラル聖マリア大聖堂では、JIS SUS445J1が外装・屋根に使用された例があります 。
  4. 産業機器部品: 設備のカバー、パネル、ホースクランプ、フィルターなど、軽量でありながら耐食性があり、加工がしやすい特徴から産業機器にも利用されています 。耐食性と耐熱性が求められる化学工業や食品加工業の一部でも使われますが、特に腐食性の高い環境ではより高性能なステンレス鋼が選ばれる傾向があります 。
  5. その他: 耐食性を持つ磁性体材料であることから、かつてのフロッピーディスクの回転磁気シートの中心部にも430系が使われていました 。これは、磁性というフェライト系特有の特性が製品機能に直結する例です。

 

 

フェライト系ステンレス鋼の選定は、技術的な要件と経済的な側面を総合的に考慮した結果です 。ニッケルを含まないことによるコストメリット 、磁性 、低い熱膨張率 、そして応力腐食割れへの強い耐性 といった特性が、これらの多様な用途での採用を後押ししています。特に、コストパフォーマンスを重視しつつ、一定の耐食性、耐熱性、加工性が求められる場面で、フェライト系ステンレス鋼は最適な選択肢となります。

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