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SCM440と他の構造用金属材料との設計における比較と使い分けの判断基準を教えてください。

材料解説 / SCM440

SCM440と他材料の比較
SCM440・S45C・SCM435・SUS304の4材料を、合金元素・硬度・靭性・コストなど多角的な視点で比較し、具体的な使い分け判断ロジックをご紹介します。

4材料比較表

評価項目 SCM440(調質材) S45C(機械構造用炭素鋼) SCM435(クロモリ鋼) SUS304(ステンレス鋼)
主要合金元素 Cr、Mo添加 炭素(合金元素ほぼなし) Cr、Mo添加(低炭素) Cr(約18%)、Ni(約8%)
焼入れ深さ 内部まで完全に硬化 表面近傍のみ(浅い) 内部まで十分に硬化 熱処理による硬化は不可
機械強度 極めて高い 中程度 高い 低い(引張強さのみ中程度)
靭性・耐衝撃 高負荷下で強靭 低温や衝撃に弱い 衝撃に対して極めて高粘り 非常に高い
切削性・被削性 やや悪い(硬い・ねばい) 良好(切削の基準材) 良好(SCM440より容易) 極めて悪い(加工硬化しやすい)
対コスト比 標準的(S45Cの約1.2倍) 非常に安価 標準的(SCM440と同等) 高価(材料費および加工費高)

各材料との具体的な使い分け判断ロジック

機械構造用炭素鋼(S45C)との決定的な違いと判断基準

S45Cは特殊な合金元素を含まないため安価ですが、加工性も非常に優れています。しかし、大径品を水や油で急冷しても芯部まで硬化しない「質量効果」が顕著に現れます。これに対して、SCM440は合金元素の作用により断面の厚い大型部品でも内部まで均一な強度と硬度を付与できます。したがって、肉厚のない一般的な薄肉ピンシャフト最複合のブラケットにはS45Cを、負荷が高くて摩耗に応力を伝達する動力伝達軸やギヤにはSCM440を選択するのが設計上の基本原則となります。

同系統クロモリ鋼(SCM435)との違いと判断基準

SCM435とSCM440の差異は炭素含有量の僅かな差(SCM435:0.33〜0.38%、SCM440:0.38〜0.43%)に起因します。炭素含有量がやや低いSCM435は、変形に対する粘り強い特性(靭性)が、瞬間的な衝撃を逸らす能力に長けています。一方で、炭素含有量がやや高いSCM440は、熱処理後の最終焼度(硬さ)と耐摩耗性に優れています。このため、高い靭性が要求されるねじりシャフトなどにはSCM435が、高い面圧や摩擦摩耗に耐える必要がある動力伝達ギヤなどにはSCM440がそれぞれ選定されます。

オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)との違いと判断基準

SUS304はニッケルとクロムの働きにより不働性皮膚を形成するため、耐性性に圧倒的な強みを持ちますが、構造体としての耐荷重能力(降伏点)はSCM440に大きく劣ります。SCM440は、大気中では錯びやすいため本格的な防錯にはメッキや塗装といった表面処理を施す必要がありますが、SUS304に比べて材料費・加工費が安く、はるかに高い機械的靭性を実現する、汎用的な耐荷(水回り)がない限り構造部材として優先されます。

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