VA/VE (加工技術FAQ)
材料選定
A5056の物理的・機械的性質(強度、密度、熱伝導率等)の特徴を教えてください。
材料解説 / A5056
A5056の物理的・機械的性質
A5056は熱処理による析出強化を利用できない非熱処理型合金であるため、材料強度の源泉はマグネシウムの固溶強化と、引き抜きや転圧などの冷間加工による加工硬化(質別記号H)によって行われます。A5056の物理的・機械的性質(強度、密度、熱伝導率等)の特徴は以下になります。
物理的・機械的特性一覧
| 物理・機械的特性項目 | 測定値 / 規定値 | 他素材と比較した技術的文脈 |
|---|---|---|
| 密度(20°C) | 2.64 Mg/m³(g/cm³) | 純アルミ(2.70)やA5052(2.68)より僅かに軽量 |
| ヤング率(縦弾性係数) | 約70 GPa | 一般的な6系アルミ合金と同等の剛性レベル |
| 溶解温度範囲 | 568°C〜638°C | 非熱処理型合金としての標準的温点管域 |
| 熱伝導率(25°C) | 0.11〜0.12 kW/(m·°C) | A5052(0.14)よりやや低い。Mg濃度が高いため熱伝導性は良好 |
| 体積導電率(20°C) | 27〜29 % IACS | 固溶Mg濃度が高いため導電率は低め |
| 引張強さ |
290 MPa(O材)
415 MPa(H38材)
435 MPa(H18材)
|
非熱処理型アルミ合金としてはトップクラスの強度 |
| 耐力(0.2%耐力) |
150 MPa(O材)
405 MPa(H18 / H38材)
|
冷間硬化材(H18/H38)では非常に高い降伏抵抗を示す |
| 伸び |
32 %(O材)
9〜13 %(H18/H38材)
|
アニール(O材)状態では高い延性と成形性を確保 |
| ブリネル硬さ(HBW) |
65(O材)
100〜105(H18/H38材)
|
適正な硬さがあり、切削時のむしれを抑制 |
| 疲れ強さ(疲労強度) | 140〜150 MPa | 繰り返し荷重がかかる構造部品に優位 |
質別(調質)による性質の変化
O材(アニール)
引張強さ:290 MPa
耐力:150 MPa
伸び:32 %
HBW:65
高延性・高成形性
耐力:150 MPa
伸び:32 %
HBW:65
高延性・高成形性
H18 / H38材(冷間加工硬化)
引張強さ:415〜435 MPa
耐力:405 MPa
伸び:9〜13 %
HBW:100〜105
高強度・高硬度
耐力:405 MPa
伸び:9〜13 %
HBW:100〜105
高強度・高硬度
A5056はO材(アニール)では高い延性と成形性を持ち、H18/H38材(冷間加工硬化)では非熱処理型アルミ合金としてトップクラスの強度(435 MPa)を発揮します。用途に応じた質別選定が重要です。




