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VA/VE (加工技術FAQ)

SUS304とSUS316の違いを教えて下さい。

1. 基本情報とJIS規格

  • SUS304(JIS G 4303/4304/4305): オーステナイト系ステンレス鋼の代表種。18%クロム(Cr)・8%ニッケル(Ni)を含み、「18-8ステンレス」とも呼ばれる。
  • SUS316(同規格): オーステナイト系で、SUS304の組成に モリブデン(Mo 2-3%) を追加。Ni含有量もやや高く(10-14%)、耐食性が向上。

 

 


2. 成分組成の違い

鋼種Cr(%)Ni(%)Mo(%)C(%)
SUS30418-208-10.5なし≤0.08
SUS31616-1810-142-3≤0.08

主な差異:

  • SUS316はMoを添加し、塩化物環境(海水・塩害地域)での 耐孔食性 が向上。
  • SUS304は一般的な腐食環境(大気・淡水)に適する。

 


3. 特性と用途

  • SUS304:
    • 加工性: 優れた延性・成形性。溶接性も良好(ただし炭化物析出に注意)。
    • 用途: キッチン用品、建築外装、配管、一般機械部品。
  • SUS316:
    • 耐食性: 塩素イオン含有環境(沿岸部・化学プラント)で優れる。
    • 用途: 海洋構造物、医療機器、化学タンク、薬品処理装置。

 


4. 加工性の比較

  • SUS304: 加工硬化性はあるが、Moを含まないため切削・プレス加工が容易。工具摩耗が少ない。
  • SUS316: Mo添加により 硬度が増し、加工硬化が顕著。切削時は工具寿命が短く、高精度加工には注意が必要。

 


5. 入手性と価格

  • SUS304:
    • 入手性: 汎用性が高く、市場流通量が多い。板材・棒材など形状の選択肢も豊富。
    • 価格: 比較的安価(SUS316の約 1.5~2倍安い)。
  • SUS316:
    • 入手性: 特殊用途向けのため、小口径パイプや薄板など一部形状で入手制限あり。
    • 価格: 高合金のため高価(Ni・Moの国際価格変動の影響を受けやすい)。

 


6. 派生鋼種の補足

  • SUS316L: 低炭素(C ≤0.03%)化した溶接用鋼種。炭化物析出を抑制し、耐粒界腐食性を向上。
  • SUS304L: SUS304の低炭素版。溶接部の耐食性が要求される場合に使用。

 

 

7. まとめ

項目SUS304SUS316
耐食性一般環境向け塩化物環境・高腐食環境向け
加工性優れる(工具摩耗少)やや劣る(工具摩耗大)
価格安価(基準価格)高価(1.5~2倍)
用途例キッチン、建築海洋構造物、化学プラント

 

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