by(株)中村製作所

地域未来牽引企業 はばたく中小企業小規模事業者300社

お気軽にご連絡ください

059-364-9311

受付時間 8:30~17:30(月~金)(祝祭日除く)

丸物・大物加工 φ1200 / 材料調達〜切削・研削研磨まで一貫加工

2025.07.11

チタン合金は、その優れた特性から多岐にわたる業界で利用されており、様々な製品部品に採用されています。

  • 航空宇宙および宇宙開発:
    • 航空機の機体(特に戦闘機) 、エンジン部品(圧縮機前段、エンジンバルブ) 、ロケット部品、ミサイル などに使用されます。ロケットの液体燃料タンクにもα型合金が用いられます 。  
  • 医療および健康分野:
    • 生体適合性の高さから、人工骨 、人工股関節 、歯科インプラント 、心臓弁 、手術用器具 、その他の医療機器 に広く利用されています。  
  • 一般産業分野 / 化学プラント:
    • 電力・海水淡水化プラントの復水器 、海水淡水化装置 、化学プラントの電極 、貯蔵槽 、反応槽 、熱交換器 、配管系 などに採用されています。次亜塩素酸ソーダなどを運ぶタンクローリーのタンクにも使用されます 。  
  • 自動車および二輪車産業:
    • 自動車のエンジンバルブ 、その他のエンジン部品 、スプリング 、マフラー 、二輪自動車の燃料タンク などに利用され、軽量化に貢献しています。  
  • スポーツおよびレジャー:
    • ゴルフのヘッド 、自転車の高級モデル 、釣り具 、登山用具 など、高性能が求められるスポーツ用品に採用されています。  
  • 建築およびモニュメント:
    • 耐久性の高さから、伝統的な日本建築物の屋根材 、内外壁 、球体展望台の素材 などに使用されます。また、発色という特性を活かして、ホテル・マルケス・デ・リスカルのようなデザイン性の高い建築物にも使われています 。  
  • 海洋工学:
    • 海洋掘削装置のライザーパイプ 、潜水艦 、海洋部品 などに利用されます。  
  • 民生品およびファッション:
    • 眼鏡フレーム 、時計 、装飾品 、調理器具 、ファッションアクセサリー 、IT部品 など、幅広い製品に採用されています。

2025.07.11

主要チタン合金グレードの特性と用途

グレード対応規格主な化学成分タイプ引張強さ (MPa)0.2%耐力 (MPa)伸び (%)主な特徴主な用途
Grade 1JIS Class 1, ASTM Gr.199.5% Ti純チタン270~410  

≧165  

≧27  

良好な成形性、耐食性、溶接性、生体適合性  

化学物質保持器、海洋部品、医療用インプラント  

Grade 2JIS Class 2, ASTM Gr.2純チタン340~510  

≧215  

≧23  

強度・延性・耐食性のバランス  

一般産業、化学プラント、熱交換器  

Grade 5 (64チタン)JIS60種, TAB6400, ASTM B348 Gr56% Al, 4% Vα+β型合金895-896  

827-828  

≧10  

軽量・高強度・靭性の優れた組み合わせ  

航空宇宙 (機体, エンジン), 医療用インプラント, 高性能部品, 軍事用途  

Grade 9ASTM B265, ASTM B3483% Al, 2.5% Vα+β型合金溶接性・強度・耐食性のバランス  

化学プロセス、航空宇宙、スポーツ用品、生体医療機器  

Ti-5Al-5V-5Mo-3Cr5% Al, 5% V, 5% Mo, 3% Crα+β型合金高強度、過酷な環境耐性  

航空宇宙エンジン部品、構造要素、軍事用途、化学プロセス装置、船舶産業  

注: 表中の機械的性質はアニール状態の代表値です。

各グレードの詳細:

  • 純チタン系グレード(Commercially Pure – CP Titanium):
    • Grade 1: 99.5%の最も純度の高いチタンであり、良好な成形性、耐食性、溶接性を持ちます 。化学物質保持器、海洋部品、医療用インプラントなどに使用されます 。  
    • Grade 2: 一般的な工業用純チタンで、強度、延性、耐食性のバランスに優れています。
    • Grade 3: 98%のチタンを含み、Grade 1およびGrade 2と比較して優れた耐食性を持ち、航空宇宙や海洋用途にも使用されます 。  
    • Grade 4: CPグレードの中で最も強度が高いですが、延性は低くなります。
  • チタン合金系グレード: アルミニウム、バナジウム、スズ、モリブデン、クロム、ニッケルなどの合金元素を含み、純チタンと比較して高い機械的特性と靭性を有します 。主に医療および航空宇宙用途で使用されます 。  
    • Grade 5 (Ti-6Al-4V / 64チタン): アルミニウム6%、バナジウム4%を含むα+β型合金で、軽量性、高強度、靭性の優れた組み合わせを持ち、最も広く使用されています 。航空宇宙(機体、エンジン部品、構造要素) 、医療施設、高性能用途、軍事用途で広く利用されます 。  
    • Grade 6 (Ti-5Al-2.5Sn): アルミニウム5%、スズ2.5%を含むα型合金で、スズの存在により優れた強度、溶接性、耐食性を持ちます 。化学処理、海洋工学、航空宇宙用途に適しています 。  
    • Grade 9 (Ti-3Al-2.5V): アルミニウム3%、バナジウム2.5%を含むα+β型合金で、溶接性、強度、耐食性のバランスに優れています 。化学プロセス、航空宇宙用途、スポーツ用品、生体医療機器などに使用されます 。  
    • Ti-5Al-5V-5Mo-3Cr: 高強度を持ち、航空宇宙産業のエンジン部品や構造要素の製造に使用されます 。過酷な環境にも耐えられるため、軍事用途にも採用されます 。  

チタンの多様なグレードは、「ちょうど良い」材料を見つけるという材料科学の原則を体現しています。単一のグレードが普遍的に優れているわけではなく、むしろ最適な選択は、特定の性能基準、製造上の制約、およびコスト考慮事項に依存します 。例えば、Grade 1は成形性と耐食性に優れる一方、Grade 5は強度と軽量性に優れ、Grade 9は溶接性と強度のバランスが取れています。

2025.07.11

金属材料の規格は、異なる製造業者間や国際市場において、材料の均一性、品質、および互換性を保証するために不可欠です。チタン合金についても、主要な国際規格が存在します。

日本産業規格(JIS):
日本では、チタンおよびチタン合金は主にJIS規格によって規定されています 。

JIS H 4600: チタンおよびチタン合金の板および条に関する要件を定めています 。

JIS H 4650: チタンおよびチタン合金の棒に関する要件を定めています 。

「64チタン」として一般的に知られている合金は、JISでは「JIS60種」または「TAB6400」として対応しています 。

ASTMインターナショナル(米国材料試験協会):
ASTMインターナショナルは、世界最大の民間・非営利の国際標準化・規格設定機関であり、その規格は世界中で広く認識されています 。

ASTM B348: チタンおよびチタン合金の棒を規定しています 。

ASTM B265: チタンおよびチタン合金の板、シート、および条を規定しています 。

これらのASTM規格は、さまざまなチタンのグレードにおける製造の均一性と品質を保証するために使用されます 。

例えば、「64チタン」は、米国ASTM規格では「ASTM B348 Gr5」として指定される合金の通称です 。その化学成分はしばしばTi-6Al-4Vと表記され、これは質量分率でアルミニウム(Al)が6%、バナジウム(V)が4%含まれていることを意味します 。

チタン合金のJISやASTMのような国際規格の広範な採用は、単なる形式的な手続きではありません。これは、グローバルなサプライチェーンと、航空宇宙産業のような安全と性能が最優先される高リスクな用途にとって極めて重要な要素です。化学組成、機械的性質、製造プロセスに関する統一された仕様を遵守することで、これらの規格は、ある国で製造されたチタン部品が、別の国で組み立てられたシステムに信頼性高く組み込まれることを保証します 。この標準化は、材料のばらつきに関連するリスクを低減し、国際貿易を促進し、複雑なエンジニアリングプロジェクトに必要な信頼性の基盤を築きます。調達においては、多様なグローバルサプライヤーから調達しながら一貫した品質を維持できることを意味し、研究開発においては、材料特性評価と開発のための共通の基準を提供します。

 

2025.07.11

チタン合金の機械的性質は、純チタンのグレードや合金の種類によって大きく異なります。これは、それぞれの合金が特定の用途に合わせて設計されていることを反映しています。以下に、主要なチタン合金の代表的な機械的性質を示します。

 

主要チタン合金の機械的性質比較表

種類/グレード比強度 (計算値)0.2%耐力 (規格値) (MPa)引張強さ (規格値) (MPa)伸び (規格値) (%)ビッカース硬さ (代表値) (HV)
工業用純チタン (CP2種)75~113  

215≦  

340~510  

23≦  

160  

βチタン合金 (Ti-15-3-3-3)157~199  

690~835  

12≦  

270  

64チタン合金 (ASTM B348 Gr5)828 , 827  

895 , 896  

10 , 10≦  

注: 表中のデータは代表値であり、熱処理条件や製造ロットによって変動する可能性があります。

 

 

各性質の解説:

  • 比強度: 材料の強度を比重で割った値で、軽量高強度材料の性能を示す重要な指標です。α+β型合金は、400~500℃までの温度域で実用金属の中で最も高い比強度を誇ります 。表から、βチタン合金が工業用純チタンに比べて格段に高い比強度を持つことが分かります 。  
  • 0.2%耐力: 材料が塑性変形を開始する応力値を示します。この値が高いほど、材料はより大きな荷重に耐えることができます。64チタン合金やβチタン合金は、工業用純チタンと比較して非常に高い耐力を持つことが示されています 。  
  • 引張強さ: 材料が破断するまでに耐えられる最大の応力値を示します。耐力と同様に、材料の強度を示す重要な指標です。
  • 伸び: 材料が破断するまでにどれだけ塑性変形できるかを示す延性の指標です。伸びが大きいほど、材料はより柔軟で加工しやすい傾向にあります。一般的に、強度が高い合金ほど伸びは小さくなる傾向が見られます 。  
  • ビッカース硬さ: 材料の表面硬さを示す指標です。

上記のデータは、異なるチタンの種類間で強度(耐力、引張強さ)と延性(伸び)の間に一般的な逆相関関係があることを明確に示しています 。例えば、工業用純チタン(JIS Class 1/2)は強度が低いものの伸びが大きく、これは優れた成形性を示唆しています。対照的に、64チタン合金(Gr5)のような高強度合金は、著しく高い強度を持つ一方で、伸びは低くなります。これは材料科学における基本的な原則です。  

このトレードオフは、各チタンタイプの適用範囲を直接的に決定します。延性が高い材料は、深絞りや複雑な曲げ加工など、大きな変形が要求されるプロセスに適しています。一方、強度が高い材料は、最小限の変形が許容される高負荷下の構造部品に選択されます。このことは、「より強い」材料が常に「より良い」わけではないことを意味しており、最適な材料は、製造プロセスと最終使用性能の両方で要求される特性の特定のバランスに依存します。

2025.07.11

純チタンとチタン合金の主な違いは、その組成と、それに伴う特性および用途の差異にあります。

組成:

  • 純チタン: 99.5%(グレード1)または98%(グレード3)以上のチタンを主成分とします 。  
  • チタン合金: 純チタンにアルミニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、ニッケル、スズなどの他の金属元素が意図的に添加されています。これらの添加元素がチタンの特性を調整します 。  

特性:

  • 純チタン: 優れた耐食性、良好な成形性、および溶接性を有します 。生体適合性が非常に高く、人体に無害です 。合金と比較して硬度は比較的低い傾向にあります 。  
  • チタン合金: 純チタンと比較して、一般的に著しく高い強度(特に比強度)、改善された高温性能、および特定の用途に特化した強化された特性を提供します 。しかし、純チタンよりも取り扱いが複雑で、加工が難しい傾向があります 。  

用途:

  • 純チタン: 耐食性、成形性、生体適合性が最優先される用途に用いられます。具体的には、化学物質貯蔵容器、海洋部品、医療用インプラント(グレード1) 、医療機器、ファッションアクセサリー、調理器具、自動車部品、タンクローリーなどがあります 。  
  • チタン合金: 優れた強度や特定の特性が要求される、高負荷、高温、または高性能環境で主に使用されます。航空宇宙産業(航空機、宇宙船、エンジン) 、より高い強度を必要とする生体医療用インプラント、軍事用途などが挙げられます 。  

純チタンとチタン合金のこの違いは、材料工学における基本的なトレードオフを示しています。

合金化によって機械的特性(強度や高温性能)を向上させることは、多くの場合、加工の難易度を高めることと引き換えになります 。純チタンは強度は劣るものの、成形性や溶接性に優れているため、延性や製造の容易さが重視される用途(例:化学プロセス機器、極端な負荷を必要としない医療用インプラント)に適しています 。

対照的に、チタン合金は優れた強度を持つ一方で、より複雑で特殊な加工技術を必要とするため 、航空宇宙産業のような高性能かつ重要な用途でのみ経済的に採算が合います。

設計者は、要求される性能特性と、製造コストおよび複雑さとのバランスを慎重に考慮する必要があります。チタンの場合、このトレードオフは特に顕著であり、純チタンから高強度合金へと移行するにつれて、高度に専門化された製造技術が不可欠となります。

 

こちらもどうぞ

チタン合金とは何ですか?その主な特徴は何ですか?

チタン合金はどのように分類されますか?それぞれの特徴と用途を教えてください。

2025.07.11

チタン合金は、その結晶構造に基づいて主に3つのタイプに分類されます。これらの分類は、添加される金属元素によって常温での結晶相が異なることに起因し、それぞれが独自の加工性や用途を持ちます 。

  1. α型合金:
    • 特徴: アルミニウムを添加することで形成される合金です 。室温および低温環境下で優れた強度を発揮します 。クリープ抵抗性も良好です。  
    • 加工性: 一般的に、後述のβ型合金やα+β型合金と比較して加工性は劣ります 。  
    • 主な用途: ロケットの液体燃料タンクや、塩酸・硫酸を扱う化学プラントの部品などに使用されます 。  
  2. β型合金:
    • 特徴: バナジウム、クロム、モリブデンなどの元素を添加して作られます 。常温においても体心立方構造(β相)を100%保持することが特徴です 。高い強度を持ちながら、優れた加工性を有します 。ただし、高温環境下では強度が低下する傾向があります 。また、バナジウムやモリブデンを多量に添加すると比重が増加し、チタン本来の「軽さ」という長所が損なわれる場合があります 。  
    • 主な用途: バネ材、ゴルフのヘッド、眼鏡フレーム、生体材料、航空機構造用部品、航空機エンジン部品、人工股関節など、多岐にわたる用途で利用されています 。Ti-13V-11Cr-3Alが代表的なβ型合金として挙げられます 。  
  3. α+β型合金:
    • 特徴: 常温で正六角柱の結晶構造(α相)と体心立方構造(β相)の両方を保持するタイプです 。α型合金とβ型合金双方の利点を兼ね備えており、加工がしやすいのが大きな利点です 。400~500℃までの比強度(強度/比重)は、実用金属の中で最も高い水準を誇ります 。また、時効処理が可能であり、これによって様々な用途に対応できる特性を発揮します 。ただし、摩擦には弱いという側面もあります 。  
    • 加工性: 良好な加工性を有します 。  
    • 主な用途: 戦闘機の機体やガスタービンエンジンの圧縮機前段といった高性能部品に採用されることが多いです 。その他、航空機部品、自動車ギア、ゴルフヘッド、眼鏡などにも使用されています 。通称「64チタン」と呼ばれるTi-6Al-4Vは、このα+β型合金の代表例です 。  

これらのα、β、α+βといった異なる結晶構造を持つチタン合金の存在は、それぞれが特定の合金元素と組み合わせることで、強度、延性、耐熱性、加工性といった機械的特性を精密に調整できることを示しています 。

例えば、α型合金の低温強度特性はロケット燃料タンクに不可欠であり、α+β型合金の高温での高い比強度は戦闘機やガスタービンエンジンに不可欠です 。また、β型合金の優れた加工性は、バネや眼鏡フレームのような複雑な形状が求められる製品に適しています 。

この材料の専門化は、極限の性能が求められ、失敗が許されない環境下での最適な性能を実現するために、チタン合金が高コストで加工が難しいにもかかわらず選択される理由を明確にしています。

 

こちらもどうぞ

チタン合金とは何ですか?その主な特徴は何ですか?

2025.07.11

チタン合金は、チタンを主成分とし、他の金属元素を添加して製造される金属材料です。純粋なチタン自体が持つ軽量性、高強度、優れた耐食性といった長所をさらに向上させたり、あるいは加工の難しさといった短所を補完したりする目的で開発、利用されています 。例えば、アルミニウム、バナジウム、クロム、モリブデンなどの元素が添加されることで、その特性は大きく変化し、多様な用途への適用が可能となります 。

チタン合金の主要な利点としては、まずその軽量性と高強度が挙げられます。普通鋼やステンレス鋼と比較して約60%の軽さであり、銅の約半分程度の重量です。アルミニウムよりは重いものの、その高い耐久性と軽量性の組み合わせは、部品の軽量化が求められる航空機などの分野で特に重宝されます 。特に、α+β型合金の場合、比強度(強度を比重で割った値)は400~500℃の温度域まで実用金属の中で最も高い水準を維持します 。

次に、優れた耐食性があります。チタン合金は非常に錆びにくく、化学プラントや海水淡水化設備のような過酷な腐食環境においても高い耐久性を示します 。この特性は、長期的な信頼性が求められる用途において極めて重要です。また、人体に対する生体適合性も特筆すべき特徴です。無害であり、金属アレルギーを引き起こしにくい性質を持つため、人工骨やその他の医療用部品として広範に利用されています 。さらに、チタンは他の素材に比べて柔軟性に富み、鉄の約2倍曲がりやすい特性を持ち、わずかな曲がりであれば元の形状に戻る性質も有しています 。熱伝導率が小さいことも特徴の一つで、チタン製のコップが温かい飲み物を入れても熱さを感じにくいといった形で、生体適合性の高さにも寄与すると考えられています 。

一方で、チタン合金にはいくつかの課題も存在します。まず、コストが高い点が挙げられます 。これは、原材料の希少性や製造プロセスの複雑さに起因します。さらに、加工が難しい「難削材」であるという特徴があります。これは、チタン合金の高い強度に加え、熱伝導率の低さ(加工時に熱がこもりやすい)、化学的活性の高さ(工具への焼き付きを起こしやすい)、そしてヤング率の低さ(加工時にたわみやすい、スプリングバックを起こしやすい)といった複合的な特性によるものです 。

チタンが持つ熱伝導率の低さや高い化学的活性といった特性は、最終製品としての生体適合性や耐食性といった望ましい機能に直接結びついています。しかし、これらの特性は同時に、加工工程において極めて大きな課題を引き起こします。例えば、熱伝導率が低いことで、切削加工中に発生した熱が材料内部に拡散せず、工具と切りくずの接触面に集中し、工具の急速な摩耗を招きます 。また、高い化学的活性は、工具の刃先に切りくずが溶着しやすく、工具の欠けや摩耗を加速させる原因となります 。このような材料固有の性質が、加工の難易度を根本的に決定しているため、チタン部品の製造には、原材料費だけでなく、特殊な工具、機械、そして高度な加工技術への多大な投資が必要となり、結果として全体のコストを押し上げる要因となっています。加工の困難さは単なる不便さではなく、チタンの製造エコシステム全体を規定する本質的な側面であると言えます。

 

2025.05.07

放電加工とは、通電したデンキョク(銅やグラファイトなど)やワイヤーを素材に近づけてアーク放電※を派生させ、この高熱で絶縁性の加工液中に沈めたワークを溶かしながら除去する加工です。

 

※アーク放電

気体中の放電現象の一つで、空間的に離れた二つの電極に電圧をかけていくと、電極間に強い電流が流れ高温のプラズマを形成する現象のこと。溶接などにもこのメカニズムは用いられています。

 

ワイヤーに通電して素材をカットするワイヤーカット加工や、金型への型彫加工などが代表的な放電加工になります。

 

 

🔵放電加工のメリットとデメリット

放電加工のメリットは、電気を通す素材であればどのような硬い素材でも加工ができること(例えば超硬合金やチタン、ステンレス、モリブデンやインコネル等)、切削加工では難しいピン角やアンダーカット加工が出来ることです。

 

デメリットとしては、加工時間が長くなるのでコストが高くなりやすいことです。

 

中村製作所では、ワイヤーカットや放電加工を含む製品も対応可能です。

お気軽にお問合せ下さい。

2025.03.12

難削材の被削性ピラミッドをご紹介します。

一般的に、材質の加工難易度はこの図に基づくと言われています。

 

このピラミッドは、被削性の良し悪し、切削条件をどこまで変えられるか(適用できる加工条件の範囲がどれくらい広いか)、その材質を削る際の工具寿命はどのくらいか

これら3点のポイントを、長方形を積み上げるように図に表しています。

 

 

 

つまり、難削材は工具を摩耗させやすく、被削性が悪く、ピンポイントで限られた加工条件でしか削ることができないために加工の難易度が上がるということです。

またこの他にも、明らかに粉塵などが機械を痛めるグラファイト、火花が散り発火しやすいマグネシウムや、時として粉塵が発火するアルミニウムやチタンも

加工に注意が必要な素材です。

 

難削材の加工相談は中村製作所まで!

中村製作所では、一般材料やダクタイル鋳鉄はもちろんのこと、ステンレス鋼、一部チタン合金やハステロイ、インコネルの加工実績がございます。

難削材の加工もお気軽にお問合せ下さい!

ページのトップへ